コラム

新しい防波堤釣りと未来(1)

公開日:2017.07.18

防波堤は釣りにうってつけのフィールド

魚釣りは、本当に楽しい。まず、何が釣れるかわからない「ワクワク」と、魚たちとの出会いの「ドキドキ」があります。そして、みごとに釣れた時の「トキメキ」が、また釣りに行こうという気持ちにさせてくれます。そんな「ワクワク」「ドキドキ」「トキメキ」をたくさんの人に知ってほしくって、わたしは魚釣りに関わる仕事を続けてきました。

海で釣りを体験するのに、防波堤はうってつけです。足場がよくて安全だし、いろんなお魚も生き物たちも自分の足元で観察できる。しかも無料。こんなに条件の整ったフィールドはありません。

しかし防波堤は本来、釣りを楽しむ施設ではありません。漁港は漁師さんの大切な船を守り、獲った魚を水揚げする仕事場です。貿易港は世界につながる海の玄関口で、大型船を出航まで預かるホテルのような施設でもあります。そのため、使用についての厳格なルールや多くの法律もあるほどです。

マナーやルール無視に世間の白い目

けれど、これほど気軽に海に親しめる場所は他にないから、港の管理者が「まあいいか」って、そっと使わせてくれているってことを、釣りをする者は知っておく必要があります。でも実際にはそうではない。防波堤に魚釣りのごみが落ちているのは、とても悲しいことです。立ち入り禁止の防波堤に入って海難事故にあったり、ルール無視のふるまいをしたりする人がいるのは、すごく残念です。いつしか釣り人は、海辺で遊ぶ人たちからチョット白い目で見られる存在になってしまいました。

直江津港内の埠頭立ち入りを禁止する看板

釣り人の立ち入りを禁止する看板

 

わたしは、防波堤釣りは海遊びの最強アイテムだと思っています。しかしマナーの問題のせいか、最近は子どもの姿があまり見られなくなってしまいました。拾った棒の竿で晩ご飯のおかずを釣ってしまう「地元漁師キッズ」が、わたしが釣りを覚えた頃には必ず防波堤にいたものです。防波堤釣りを楽しむ親子も少なくなりました。これはさびしいことです。だからこそ「遊び場」として貸してもらっている防波堤を、正しくきれいに使ってほしいのです。

今、防波堤釣りの未来に明るい光をともす、新しい試みが各地で始まっています。

次回はそんな話題の防波堤で、学生たちと釣りを楽しんだお話を紹介します。

(次回につづく)