コラム

学校と地域をつなげる海の学習(2)〜「カーミージー探検隊」始動!

公開日:2017.11.07

地元小学校で環境学習がスタート

 物事が動き始める時、必要な場所にはちゃんと必要な人が待っている。浦添市立港川小学校の環境学習も、そんな出会いから始まりました。

 港川自治会長が「地元の海で体験学習をしないか」と小学校に持ちかけて、対応してくださったのが、当時4年の学年主任をしていたトモヨ先生でした。4年生の「総合的な学習」は環境がテーマで、1学期の中で地域の海を学ぶ計画を考えてくださったのです。

 授業プログラム名は「カーミージー探検隊」。名前だけでワクワクします。

 

観察会のトモヨ先生 

昔の海や海遊びについて聞く

 トモヨ先生は、授業の仕掛けを考えるのが抜群でした。1学年4クラス、150名ほどの子どもたちを前に、BEGINのヒット曲「島人の宝」を流してから、「みなさん、港川の宝はなんでしょう?」という問いかけでスタート。

 1回目の授業は、自治会長のゼンロウさんから昔の海や子どもの遊びについて話を聞きます。「カーミージー」の岩は亀(カーミー)の甲羅に形が似ているからそう呼ばれたこと、この上から飛び込むのが子ども同士の度胸試しだったこと、毒草をすりつぶして潮だまりの小魚を採ったこと…会長自身の子どもの頃のモノクロ写真を上映しながら、興味深い話が続きます。

港川自治会長のゼンロウさん

いざ、野外観察へ!

 翌週の2回目は、わたしたち「しかたに自然案内」が担当する「カーミージーの海の自然について」。この海の特徴や、どんな生き物がどんな暮らしをしているのか、危険生物は何がいるか…それをあらかじめ学ぶことで、野外観察の心構えをつくります。

 そしていよいよ観察会。わたしたちのガイドのもと、自治会やPTAの方々もサポートに入り、大きなナマコに驚き、きれいな魚に喜び、時には危険生物を間近に見て、海の自然の豊かさを実感します。

初めてナマコをさわった!

ルリスズメダイつかまえたよ!

学びを壁新聞や紙芝居に

 そのあとは壁新聞づくり。まずわたしたちが各クラスに入って、子どもたちからの生き物に関する質問に答えまくります。次に、地元新聞社やイラストレーターさんの出張授業で新聞づくりを学び、グループで壁新聞や紙芝居を作成。

 発表会は体育館で。パネルを立てて壁新聞を張り出し、4年生が3年生に向けて発表します。それにより、3年生は来年自分たちがこれをやるのだ、という期待をもつのです。

 2006年から12年間、先生方は入れ替わり、細かいやり方は変化しつつも、基本的にこのスタイルで環境学習が継続されています。この取り組みについては「海のがっこう」(東海大学出版会, 2013年)という本にまとめられています。興味のある方はぜひご覧くださいね。

体育館で発表会

(次回につづく)